Researching Monsta Island!

RAVAGE The MeccaGodZilla - Erroars

アメリカのヒップホップアーティスト、ラッパーの面白い傾向のひとつに「既存のキャラクターを自身に投影させる」という現象があります。作品に反映させたり名乗ること(Aliasってやつね)のイメージ作りなどいろいろで、そのキャラクター自体も偉人や犯罪者など実在の人物から、コミックや映画のキャラクターまで多岐に渡っていて列挙したら暇が無いほど。映画「トロピック・サンダー」ではこれがギャグになってた(アルパ・チーノ!)。

そんな中でもオレが一番好きな事例は数々の不幸を乗り越えアメコミのキャラクターからアイデンティティを生み出して復活したMF Doomなんだけど、そのDoomが結成したMonsta Island Czarはなんとメンバー全員東宝怪獣映画の怪獣を名乗っているというユニット。Wu-Tang Clanにおける「カンフー」がこいつらは「怪獣」であると考えればいいか。NYのヒップホップと日本の怪獣という組み合わせもすごいが、活動ぶりも中々に謎が多い。メンバー個々は活動している一方グループとしての作品はここ数年無し。グループ自体もかなり前にDoomのメタルフィンガー(つまり「手」)から離れており、初期メンバーも結構脱退してるよう。Jet JaguarことMF Grimmはまだメンバー。

で、そのMICからメカゴジラ・・・RAVAGE The MeccaGodZillaがソロアルバムをリリース!。トラックメイカーらしくインストアルバムだけどラップを乗せるためのトラック集っぽい作り。いよいよ本隊が動き出すのか!?。「コングが勝つか」。


〜合わせて聴きたい作品〜

Monsta Island Czar - Escape From Monsta Island (2003)

怪獣映画からのサンプル音をフィーチャーしたアンダーグラウンドヒップホップ=怪獣ヒップホップ(勝手に名付けた)を確立したアルバム。今のところMICとしてはリリースはこれだけ。King GhidraことDoomが5曲、それ以外をX-Rayがトラック制作。Grimmは(当時服役中だったとかで)不参加。

CDのブックレットはこんな感じ。怪獣に関しては身長体重など細かいデータが載っているが、メンバー本人たちのデータは全然無えんでやんの。


Rodan - Theophany (2004)

MICのアルバムで特に目を引いたRodanのソロ。KMDの作品にも参加していたキャリアの持ち主だそうで、充実した作品。ちなみにRodanとはラドンのことです。


X-Ray - Monster Mixes 1 (2002) / X-Ray - Monster Mixes 2 (2003)

初期MICのトラックメイカーであるX-Rayの名義で出ているMICのリミックス&アルバム未収録曲をまとめたアルバム。Doomの「Doomsday」と「My Favorite Ladies」のX-Rayリミックスも入ってるよ。X-Rayの別名はKing Ceasar。


Megalon - A Penny for Your Thoughts (2004)

Tommy Gunnなる別名も大変子供っぽくてイイMegalonは、UKのGreedy FingersのアルバムにもDoomと一緒に参加してる。しかし元ネタの怪獣がマイナーだと本人にもマイナーみたいにみえる。


Kongcrete - Shackle Off (2008)

MICのメンバーが大挙参加しているKongcreteのアルバム。MIC関連では近年一番の作品と言えよう。ただ同名のラップコアバンドがいるので注意されたし。


Kwite Def - Artz And Craftz (2007)

Kamackeris(カマキラス)ことKwite DefのアルバムはX-Rayが制作。なんか怪獣目撃情報みたいになってきたな。


・・・MICに関してはいつかもうちょっとしっかり調べてまとめ直そう。「元」も含めてメンバーが多いのにゴジラを名乗るやつがいないのが面白いね。最後に今年の1月にメンバーのMF BASH (AKA Bashton Da Invizabul Mang)が亡くなったそうで。RIP。