More Essential Hip-Hop Albums of 2012!


前回ブログ更新したときは寒かったのに今日は暑いくらいだ!。忌まわしきマワファッキン・ワークが3月からやや忙しくなってきて、この数年超アブストラクトだった生活リズムも随分規則正しくなり、そっちに慣れるのが大変な日々だったりしてます。ブログの更新も滞ってきてるのはその為…とはいえ、いまだ2012年のアルバムをまとめて取り上げ中!なのはもはやちょっとしたサプライズの方に寄っちゃってるとか言わないと格好がつかないなこりゃ。という今回はそのヒップホップ編で一応2012年下半期分という体。比較的ブログで語ってきてると思いきやまだ10作以上もあるんですね。ホントは一作一作ディープに掘り下げたいものばっかりなのに。


Lil Fame & Termanology - Fizzyology http://www.youtube.com/watch?v=8cDPgwE9YZQ


泣く子も滾るM.O.P.のLil Fameと、もっぱらStatik Selektahとの1984がホンチャンのような存在になりつつあるTermanologyが組んだユニットが名づけてFizzyology!。顔合わせ的にはお馴染みでもアルバム丸ごと作っちゃったってのはやや驚き。聴く前はFizzy WomackことLil Fameがほとんどの曲を手がけてるという事で期待したが、それらが悪くはないもののさしてスペシャルな感じもしないというのがちょっと残念。トラックメイカーとしては良くも悪くもこなれてきてるのね。3曲ほど「M.O.P.のサイドプロジェクト」にはピッタリの重厚な曲あるな、と思ったらそれ全部Statik Selektahプロデュースだったし。ただ、Fameのラップはマッシュアウトにド迫力で、アルバム1作パートナーが違うってのも面白いし、そのパートナーたるTermも凄みをきかせたような語り口や、ややラフなフロウをかましたりして達者なとこ見せてる。


Apollo Brown & Guilty Simpson - Dice Game http://www.youtube.com/watch?v=lChy8EG8_gU


去年はO.C.とのコラボで傑作をモノにしてるApollo Brownは、Guilty Simpsonともアルバムを仕上げているが、O.C.とのやつとは少し音の様子を変えてきているのがちゃんとしてるな。こちらはサンプルネタがソウルフルなループ中心でスネアを少し強調したような作り。「Trophies」で多く聴けた美しいストリングス使いも4曲くらいあり。Guiltyの「人生はダイスゲーム」?みたいなテーマのラップもいいね。


Showbiz & A.G. - Mugshot Music http://www.youtube.com/watch?v=WPeE3JN6pNE


去年はApollo BrownとのコラボでO.C.が傑作をモノにしていた同年、彼も参加したShowbiz & A.G.のアルバムも出ていました。が、こっちはまだ「90年代のヒップホップグループの'10年代の音」っぽいな。アングラなヒップホップ好きには楽しめるだろうが、O.C.が更なる一歩を見せてるだけに、もうちょっとなんかあっても…。あと本作リリース前にプレ・アルバムとしてミックステープで「Mugshot Music Preloaded」が出てるが、そっちの方が良いというのも重ねて惜しい。


Pac Div - GMB http://www.youtube.com/watch?v=QQqruyNDy1U


音の概要はまたしてもトラップを吸収したようなものかウェストコースト・ニュースクールなやつかどっちかという、「The Div」パート2みたいな内容。自分たちのやるべきことが分かってるなという反面、グループとしてはややその自分たちのやってることに納得しすぎてるようなキライなきにしもあらずかな?。まあ結構早いペースで出してきたオフィシャル2作目だし、それらのスタイルを両方を融合させたような「Slow」なんかすごく良いし、アルバム自体には文句ないぞ。


Skyzoo - A Dream Deferred http://www.youtube.com/watch?v=8AHwbzkcRY0


Skyzooのセカンドはいかにもアンダーグランドヒップホップなトラックだけでなく、シンセ&スカスカなビートみたいな曲も半分くらいあるバランス。音の雰囲気はアルバムカヴァーの不思議な色合いで統一してあって良く出来てる。まあこの人もっと下世話にカッコいいビートで攻めても構わないと思ってるんで、あとは好き嫌いってとこかな。どっちが好きかは言うまでもないとこですがね。オープニングでJill Scottフィーチャーってのがたまげるのと、Chi-Aliを讃えた曲や「Spike Lee Is My Hero」などラップしてる事のセンスも抜群なのは流石。しかし去年Chi-Aliが出所したってニュース聞いたときは、未来が来たな〜と思ったことよ。


MHz - MHz Legacy http://www.youtube.com/watch?v=RZ6s_qwiMqg


Copywrite、Camu Tao、Tage Future、Jakki Da Motamouth、そしてRJD2!のスーパーグループ(と言うよりここから出てきたってのが正しいか)MHz、Camu Taoが2008年に他界しているので残る4人での再結成アルバムは11年ぶり。ラッパー、トラックメイカー共にゲストを多く向かえニギニギしいのは良いが、RJD2のトラックがここ数年のシネマティックな音作りを反映しつつヒップホップに回帰しているのがとても嬉しいんで、どうせならRJD2全曲製作だったらもっと最高だったろうに。Tageが「こんな良かったっけ?」ってくらいすごくカッコいい。RJD2はSoul Positionの再結成もウワサされてるが、Tageとアルバム作ってよ。


Craig G - Ramblings Of An Angry Old Man http://www.youtube.com/watch?v=dv5YQDRG9Fo


1980年代のオールドスクール期から活躍するリアルO.G. Craig Gのニューアルバムとは恐れ多いぜ。 トラックはやはり90年代っぽい音中心で大体想像できる内容ではあるけども、「I'm Just Saying」(8曲目)や「Originality」(11曲目)など、オールドスクール・テイストを新たに解釈加えたみたいなトラックがとても良くて、こういう曲もっと増やせばタイトルに相応しいアルバムになったかも。


La Coka Nostra – Masters Of The Dark Arts http://www.youtube.com/watch?v=URbrlnWhCLc


La CokaのセカンドアルバムはEverlast完全不参加!。なんでも生まれたばかりの娘さんが遺伝性の難病にかかってしまっているそうで、そばを離れることが出来ず、苦渋の決断だったそうな。それじゃ仕方ないね。よって今回はIll BillとSlaineの二人が中心で製作された模様で、ゲストやトラックメイカーの人脈もそっち寄り。アンダーグラウンド・ヒップホップのアルバムとしては全然良いけど、La Coka Nostraのアルバムと言うにはどうかと。いっそIll BillとVinnie PazのHeavy Metal Kingsみたいに、別ユニット名義にすればすっきりしたかも?。


The Black Opera - Libretto: of King Legend / EnterMission. http://www.youtube.com/watch?v=MKNAeHPoeuY


Mello Music Groupが送る謎のヒップホップ・コレクティヴ、それもコンセプチュアルなアート集団的存在という触れ込みのThe Black Opera。それでホントにオペラとかクラシックっぽい音要素、サンプルネタを盛り込んだ曲あったりしてパッと聴いた印象は怪しさ満点だが、実は音楽的にもしっかりしたアンダーグラウンド・ヒップホップ・グループ。その正体はAthletic Mic Leagueにも所属してるMagestik LegendとBuff1の二人で、すなわちThe Detroit Experimentとかにも関連してるんだな。なのでダウンテンポもののような音の質感あったり、Mayer Hawthorne参加してたりする。2011年のデビューEPに続き去年はアルバム2作出してるが、「怪しいけど本格派」という存在性は「EnterMission.」の方が良く出てるかも。


Rapsody - The Idea Of Beautiful http://www.youtube.com/watch?v=Rbum9epE8Uw


2012年最も真摯に「ヒップホップ」していたアルバムの一つだろう。ちょっと大げさに観念的な言い方すればアルバム丸ごと「I Used To Love H.E.R.」みたいな作品だと思う。9th Wonderとその仲間たちのトラックが気合入ってて、連中が彼女のことをとても大事にしてる(そして誇りに思ってる)のが良く分かるのが微笑ましい。


Reks - Rebelutionary http://www.youtube.com/watch?v=nEg-52YlGJI


Reks「2012の2作目」はコンシャスラッパーっぷりを極めんとするようなラップに、全曲手がけたNumonicsのトラックはフルートやパーカッション、コーラスなど70年代ソウルなエッセンスたっぷりで、コンセプト・アルバムみたいって程。ただ、トラックは全体的にビートが弱めなんで、これがもっとハードだったら良かった。


Beneficence - Concrete Soul http://www.youtube.com/watch?v=0xoPQyt3_Eg


こちらのトラックはビートばっちりきまってますよ!。ニュージャージーの隠し玉Beneficenceの、これも早いペースで出してきたアルバムは、どうした!と驚くぐらいトラックのクオリティ高えのね。もう90年代風ってより「そのもの」だ。それにいわゆる黄金時代のヒップホップのトラックって、サンプリングネタの趣味は通でも音の概要って実はキャッチーだったりするが、そんな「ラフ・ラグドだロウ!なのに鮮やか」という不思議な魅力再現できてる。しかもいまだ現役な当時のプロデューサーは起用しておらず、比較的最近であんまり大物じゃないようなトラックメイカー中心でそれ、ってのも評価したい。もちろんBeneficenceのド渋な語りにピッタリでね。渋いと言えばゲストフィーチャーも、Rampage、Nature、Lord TariqにChubb Rock!と、まだラップやってたの?という顔ぶれで驚いた。