The Re-Building

Raekwon - Only Built For Cuban Linx... PT. II

遂にこの時が来た。「Only Built For Cuban Linx...」その続編を聴ける時が!。Rakewon The Chef、1995年、問答無用の傑作の続編が遂に!。期待度がハンパなかっただけに、聴く前に一番不安だったのは「普通にいいアルバムで、Cuban Linxの続編ということだけでなんか盛り上がる」みたいなノリになるんじゃ・・・ということだったんだが、そんな心配は必要なし!。この続編もどエライ傑作だ!。コカインディーラーの物語を映像的なストーリーテリングと芳醇なリリシズムを持って語る、という前作のコンセプトを引き継ぐラップ、その世界観を存分に表現するトラック、共に誰もが待ち望んでいたものが提示されている期待以上の仕上がり!。そんなヒップホップファンの共通の宝というべき前作「Cuban Linx」の看板を掲げる以上は生半可なものは作れない、という、Raekwonとその仲間たちの気概がビリビリ伝わってくるかのようだ。実際ゲストはBusta、Slick Rick、Jadakiss & Styles P辺りを除けばWuの面子中心という所にも顕著に表れている。で、トラックについて驚いたのはJ Dillaのビートが素晴らしい上に「Wu-Tang」魂溢れるものだったこと。このブログはプロフィールに書いてもおかしくないくらいWu-TangとDillaに関しては「えこひいき」が激しいんだが、それを差っ引いても「Cuban Linx」の続編でDillaの仕事が良かったのは意外な驚き&歓喜。まさに理想郷というか。「Cubam Linx」スタイルでODBを偲ぶ曲(泣ける!)があったり、Ghostfaceの助演ぶりも最高・・・と、山ほど語ることある盤。New Wu大満足!。


↑2009年マイベストソング候補!。Dilla製作!。

↑コレもDillaだぜ!。やはりWu-Tangっぽい。



〜合わせて聴きたい盤〜

Raekwon - Only Built For Cuban Linx... (1995)

世界に風穴を空けた名盤たるWu-Tang Clanの「Enter the Wu-Tang (36 Chambers)」と、その後リリースされたメンバーのソロ作である、Methoda Manの「Tical」からGhostfaceの「Iron Man」までの流れは、それだけでヒップホップの歴史に残る瞬間と言っていいほど。中でも「Cuban Linx」はメンバーのソロアルバム群の中では頂点たる作品。そしてコレを含め全てその作品群をRZAが一人で作り上げたってのは今更ながら驚愕だ。実は「Cuban Linx II」で唯一寂しいのはRZAのトラックが2曲しかないことで、ラキーム王子が全部手掛けてあの出来だったら続編として完璧だったかもと。だからといってあのアルバムの価値が下がるという類のモンではないというものの。とにかくWu-Tangの1st〜Ghostfaceの1stを体験した人間は「Cuban Linx II」を大いに楽しめる「特権」があると誇るべし。そして「Cuban Linx」はヒップホップ史に残る名盤であるのはもちろんのこと、同作が影響を受けた映画「スカーフェイス」や、ゲーム「GTA」シリーズなどなど、アメリカが生んだ「やさぐれカルチャー」の名作の歴史にも名を連ねる作品とも言えるし、「Cuban Linx II」もそこに加えられる傑作だる出来だ。あと1stのころはRaekwonとGhostfaceが実の兄弟だと言われていたのとか思い出したり。


Raekwon - Immobitality (1999) / Raekwon - The Lex Diamond Story (2003)

「Cuban Linx」に続く2枚目のソロはGhostface不参加、RZAが関与しないトラックがショボいものばかりな上、前作のトータルな世界観もなくなっちゃってかなりズッコケた一作。Method Manとの「Fuck Them」やPete Rock製作曲とかは結構イイのが逆にアルバムのトータル感を乱しているという困った盤だった。音の様子が様変わりしたWu-Tangの2ndとこれが後の「Wu-Tang凋落感」を決定的にしたんだろうけど、それぞれの1stを思えば皮肉な話過ぎる。Raekwonの3rdは多少持ち直したものの、NYのハードコアヒップホップ受難の年に出て時既に遅し、だったか。「Ice Cream Pt.II」が入ってるのもモッタイナイという気するし。そういったことを思えば「Cuban Linx II」はPete Rockがイイ仕事してるのは嬉しかった。まあアルバムの出来不出来に関係なくRaekwonの切れ味鋭いラップぶりは一瞬たりとも鈍ったことはないし、この2枚も普通のヒップホップアルバムとして聴けば十分な作品ではある。


Raekwon and Ghostface Killer - R.A.G.U: Rae And Ghost United (2007) / Raekwon - Cuban Revolution (2009)

ここ5年くらいはミックステープのリリースが中心だったRaekwon。ミックステープに関しては色々良し悪しがすごくあるが、いつかまとめて考察したいもんである。で、さしあたってこの2枚あたりがお勧めか?。RaeとGhost再び、がテーマの盤と「Cuban Linx II」イントロ盤。しかし「Cuban Linx II」は2005年リリース予定が延びに延びたんだけど、ベテランヒップホップ、おっさんラップが今やムーヴメントと言っていい程熱い今年こそ最高のタイミングというか、出るべくして出る運命だったのかと。実際その頂点たる盤。


おまけ Joe Budden - Escape Route (2009)

偶発的なWu-Tangとのビーフの結果、和解したのにRaekwonに殴られちゃった(!)我らが(?)Joe Buddenも今年2枚目のアルバムをリリース!。次のアルバムである「The Great Escape」の前奏的アルバムらしいけど、アルバムカヴァーだけ見ると時期が時期だけにWu-Tangから逃げ出したみたいに見えるあたり、無作為のオモシロを持ってるな!、この男。音もレフトオーヴァーみたいな曲ばっかと思ったらWaleをフィーチャーした9th Wonderプロデュース曲(!)があったりデタラメすぎ。