Meet Kamaal

Q-Tip - Kamaal The Abstract

さて、前回に引き続き今回も長らくお蔵入りの目にあっていたものの、今年正式にリリースされることとなったアルバムを。言うまでもないでしょう、Q-Tipの「Kamaal The Abstract」!。前回のエントリでLarge教授の「The LP」と一緒に取り上げようと思ったものの、さすがに文章量が大変なことになりそうだったんで分けたってなもんで、ホント。2002年リリース予定が「商業的でない」って理由で本年まで正式にリリースされなかった本作。すでにブートなどで出回ってたのでご存知であろう素晴らしい内容なのは言うまでもないけど、良くも悪くも「お蔵」になるほどの負のパワーってのは感じられないのが初めて聴いたときの印象で、寧ろそれが逆にお蔵になった理由なんじゃ?なんて穿った見方をしてしまったり。オレのような「神様仏様、Q様Tip様」って人間は山ほどいるだろうし、リリースされなかったことの諸々のエネルギーのほうがレーベルにとってワリに合わなかったんじゃねえの!とか思いましたよ。まあきちっとリリースされたのはメデタイ!。



〜合わせて聴きたい盤〜


Q-Tip - Live at the Renaissance (2005) / Q-Tip - Open The Mixtape: Abstract Innovations (2008) / Q-Tip - Abstract Innovations (2008)



1999年、初のソロアルバム「Amplified」から昨年の「The Renaissance」まで、正規のアルバムはほぼ10年のブランクがあったQ様。「Kamaal」自体はブートで出回ってた上に、やはり当初のリリース予定から延期されていた「The Renaissance」共々収録曲の一部はこれらの非正規アルバム群でも流出していた。正直どれがどれか混乱してた時もあったり。「Kamaal」がちゃんとリリースされてれば直ぐ済んだハナシなのにねえ。ショーバイなので慎重になるとは言え、やはりレーベル側はアルバムリリースに関しては寛容になって欲しいもんである。



De La Soul - AOI: Bionix (2001) / Common - Electric Circus (2002)

「Kamaal」リリース予定の2002年頃に出た、「Kamaal」よりお蔵が似合いそうなアルバム・・・なんて言い方はどうかと思うが、そんなアルバムが2枚もあったね。De Laのは派手さは無いもの彼らの輝かしいディスコグラフィーに相応しい逸品だったのに、レーベルがろくなプロモもせず適当に出しやがったせいで、正式にリリースされたアルバムなのに注目度が低かったという不当な一枚。3部作のハズの「AOI」シリーズ第2弾なのに、3作目が出てないってのもそのせいでしょうな。Commonのアルバムの問題作振りは以前も触れたんだが、「Kamaal」よりよっぽど「お蔵」っぽい「負のパワー」がある気がする一方、それが魅力にもなってるとも言える盤だな。



・・・「Kamaal」リリース予定だった2002年と言えば、Cee-Loの1stとN.E.R.D.が1stを生音で録り直した盤が印象深いが、「Kamaal」はこれらに並んで語られたかもと思う一方、Commonの例のアルバムにThe Rootsもあの「Phrenology」を出してるんで、こっちグループだったかもという気も。大物ではNasが「God's Son」、Jay-Zが「The Blueprint 2」を出してる他、「The LP」がお蔵を食らったLarge教授の正規リリースの1stソロ、「First Class」もこの年。なんちゅう皮肉!。あと、90年代のヒップホップに関しては言及しまくってる、というのが最早決まり文句になっちゃった当ブログ。思えば00年代の10年間のヒップホップ再考も今年末の大仕事の一つだけど、「Kamaal」はその取っ掛かりになるかも。ちなみに2002年はAnti-Pop Consortium解散してるが、今年遂に再結成はこれまたメデタイ。一方、やはり2002年リリースのThe X-ecutioners「Built From Scratch」から七年後の今年Roc Raidaが亡くなってしまったとは・・・。遅ればせながら、Rest In Peace、Raida!。