Tanya Morgan And The Companies

Tanya Morgan - Brooklynati / Che Grand - Everything's Good Ugly / Finale - A Pipe Dreams And A Promise



ブルックリンのMC兼トラックメイカーVon Pea、シンシナティのDonwillとIlyasの3人でTanya Morganとその仲間たちのアルバム群。色々聴いてみましたよ。

Tanya Morgan - Brooklynati


Native Toungeにはじまり、HieroglyphicsやLittle Brotherまで、脈々と受け継がれる「ヒップホップマニア・ヒップホップ」とでも言うべき、ニュースクールヒップホップスタイルの系譜の良い所があちこちに出ているのが持ち味のグループTanya Morgan。更に初期ニュースクールヒップホップの音楽的な要素やラップスタイルだけじゃなくて、アイデア、ユーモア、洒落っ気、センスの良さなんかも持ち合わせているのが特徴。1stから確立されてるそういったグループの特徴に加え、2nd「Brooklynati」は更に浮遊感のあるソウルフルな音造りが特に際立ってカッコいい&気持ちいい。傑作。


ラップスタイルだけでなく、雰囲気や佇まいがSouls Of MischiefやThe Pharcyde辺りっぽいTanya Morgan。ニュースクールヒップホップが提示した洒落たセンスやユーモア感って、90年代中期の「ヒップホップハードコア回帰」以降やや否定されがちなままだったかな。Souls Of MischiefやThe Pharcydeがそのあたりから全然活躍できてないのはその証拠かも、なんて気がしてきた。


Che Grand - Everything's Good Ugly


そのTanya Morganのお友達、「Brooklynati」にも登場するラッパーChe Grandのアルバムは、複数のプロデューサーのトラックの音の質感がカラフル&エレクトロニック、更に言えばハイファイ(?)で、メジャーでも全然いけそうな音作りなのがちょっとビックリ。それでビートの鳴りやラップスタイルは基本アンダーグラウンドヒップホップってのが不思議なオモシロさ。プロデュース陣はあんま聞いたことない奴が多いが、Wale Oyejide(!)やColin Munroeのような名前が出てくるから油断できない。


Finale - A Pipe Dream And A Promise


デトロイトのMC、Finale。こちらはTanya Morganとの関係はあんま分からないけど、アルバムリリース元が同じInterdependent Mediaです。上の2組と比べると硬派なアンダーグラウンドデトロイト」ヒップホップ。トラックメイカーはBlack Milk、Nottz、Waajeed、Ta'Raachから、果てはFlying LotusやDillaまで、確実すぎる面子だ!。言葉を一言一言丁寧に発音する、癖があるけど聴きやすいというラップスタイルもユニーク。硬派だけど取っ付き難くは無い、良いアルバムだ。


おまけ


我がブログ自慢の気まぐれ企画、New Eraキャップチェック!。「Brooklynati」もあるのか。欲しいな〜。



・・・Kanye Westの1st「The College Dropout」は、ニュースクールヒップホップが提示したユーモアやセンスが存在していた、近年では珍しいアルバムだったし、それが傑作たる要因の一つだったと思う。で、奴さんのアルバムって2nd以降どんどんそれらが失われていってる気もする。「De La Soul Is Dead」じゃないけど、Kanyeちゃん次のアルバムは「The Social Dropout」なんてどう?。