Descend or Ascend

KiD CuDi - Man On The Moon: The End Of Day / Skyzoo - The Salvation

いっつもベテランのヒップホップアーティストばっか取り上げてる気がするんで「ニューカマー達のアルバムを」ということで、今日のピックは期待の新人MCたち、KiD CuDiとSkyzoo、共にデビューアルバムだ!。まずKiD CuDi。落ち込んでいくような情感をエレクトロニックな音中心のサウンドと、調子っぱずれなシンギンも交えたラップで描く様は方々で話題も納得の出来。「オルタナヒップホップ」的な言われ方もしてるけど、ミクスチャーな感じではなくサイケデリックな質感なのが面白いね。ちょっとKanyeっぽすぎるのが気になるが、それは意見としては厳しすぎですか。一方NYのMC、Skyzooのアルバムは対照的にベーシックなヒップホップの魅力溢れる逸品。こちらはスピリチュアルかつ深遠で前向きな世界観が、美しいサンプリングネタをふんだんに塗したビート上で展開するという作りで、デビュー盤にしてクラシックな風格漂う出来に感心することしきり。実に良いアルバムだな!。感情の方向は真逆ながら、どちらもそれを十分詩的にも音楽的にも感性豊かに表現できてて、こういう新人が出てくるのは頼もしい!なんて思ったのだった(偉そうに)。


↑イントロに続く2曲目。フックというかコーラス歌いたくなる。

↑こちらも文字通り美しいオープナー。



〜合わせて聴きたい盤〜

Kanye West - 808 And Heartbreak (2008)

どっちがどっちに影響を与えたのか正確なとこはわかんないけど、喪失感、悲嘆、失意などを、エレクトロニックというかマシナリーな質感で表現したこのアルバムと相互関係にあるアルバムである、という点でも「Man On The Moon」は面白い作品と言える。オートチューンの方に飛びついた奴は山ほどいたけどね。わざわざタイトルで「808」って言ってんのに!。


KiD CuDi - A KiD Named CuDi (2008)

新人とはいえKanyeの諸作はもちろん、ミックステープでも顔出し済みではあるCuDi。こちらはよりいかにもな「オルタナ」感が楽しめる、ミックステープならではの自由さがある。


Skyzoo & 9th Wonder - Cloud 9: The Three Day High (2007)

Skyzooもやはり結構な数のミックステープをリリースしていて、「新人」感は薄いか。このアルバムは全曲9th Wonder制作の半オフィシャルアルバム?。エモーショナルなサンプルとカタいビートでお馴染み9thのトラックとの相性はバッチリ。ただこちらはラップっぷり、若干Jay-Zっぽいか?。そんなSkyzoo、ちょっと宗教的な言葉をよく使ってるけど、本人は特定の宗派に属してるってワケではなくシンプルに「スピリチュアル」なだけと言ってる。「音楽、ヒップホップこそが我がサルベーション」とも。カッコイイな。