Sympathy For The Undergods

The Undergods - Canibus And Keith Murray Are The Undergods

以前AZを取り上げた時に触れた「不遇のラッパー話」、それで真っ先に思い出すラッパーと言えるKeith MurrayとCanibus。そんな2人がその名もThe Undergodsとしてこの度コンビ結成!。来年リリース予定のアルバムに先駆けてEPが出たんで聴いてみたら、「不遇」ぷりを吹き飛ばすような曲、あるじゃないか。デビュー当事はいい意味で「鉄砲玉」感が凄くて、触るもの皆「傷つけちゃるけん!」と言わんばかりに振り回される切れ味鋭いナイフといった感じのラッピンも、今や年月を重ね名刀のそれといった味わいが出てる気も。もちろん今でもむやみやたらに振り回してみせるんで、手に負えなさそうな感じは相変わらず。トラック制作はErick Sermon親分の他Da Beatminerzも!。まあアルバムの出来はどっちかと言うとそのトラック次第ってのが大きいと思いますけど。期待して待とう!。


こんなゴッツいノリで全編キメてくれたら凄いアルバムになりそうだな。



〜合わせて聴きたい盤〜

Keith Murray - The Most Beautifullest Thing In This World (1996)

ビューティフルエスト・ヴォキャブリスト、Mr. Keith Murray!。E DoubleことErick Sermon率いるDef Squadが、Redmanに続いて送り出した脅威の「どちんぴらラッパー」!。変わった言語センスを「甲高いのにハスキー」という不思議な声と、ワメいてるわけではないのにそう聞こえるようなフロウでラップする様に「これまたエラいのが出てきたな」とヒップホップファンをそれはもうタマゲさせたもの。当時全盛と言ってよかったE親分のDef Squadファンクが炸裂しまくった音作りでいきなり「ヒップホップクラシック」となったこの1st、そして中々の傑作だったセカンドに続き、ゲスト参加したR.Kellyの「Home Alone」もヒットして勢いに乗るかと思いきや、3rd以降は肝心のDef Squadサウンドがどんどんショボくなっていったあおりを受け、後はもう・・・って感じ。そればかりか暴力沙汰でブタ箱入りというオマケまでも。それはまあ自業自得か。


1stから。ちょっと捻ってアルバムタイトル曲ではなくこちらを。Keith Murray gets busy off a Basic Instinct!。


Canibus - Can-I-Bus (1998)

リリカルシャープシューター、Canibus!。カックイー!・・・けど、コレがまあ問題児。こちらも当初は「悪イイ」声と粘着質なのにソリッドな語り口のラップ&リリシズムを武器に登場するや、いきなりLL Cool Jビーフをおっぱじめて「これまたエラいのが出てきたな」とヒップホップファンをそれはもうタマゲさせたもの。しかもシングル「2nd Round KO」の迫力ときた日にゃ「こいつ・・・ホントにLLをブチのめしちまうんじゃ?」と思わせる存在感で、デビュー時のセンセーションはEminemやThe Gameのそれなんてもんじゃなかったんです。ところが1stアルバムの制作をWyclefに頼んじゃったもんで、世界中のハードコアヒップホップファンが「ズルッ」&大激怒!。「誰に頼んでんだ!てめえこそ1ラウンドでブチのめされてえのか!」くらいの勢いで。まあレーベルの事情とかもあったんだろうけど、まずい事にこのアルバムの出来が振るわなかったもんで、あっと言うまに悪い意味での地下行き!。LLとのビーフも、相手にタナボタ勝利あげたような始末。その後も突出したラップの実力を全然生かせてないアルバムを出し続けたあげく、なぜか一時期軍隊入り!。不思議ラッパー人生だな。


タイソンまで登場!。このカッコよさなのにシーンに君臨できなかったって、つくづく1stアルバムの失敗が効きすぎだったんだな。


Keith Murray - Some Shit (feat. Canibus and Deja Vu)


まあそんな諸々を経てThe Undergodsを結成したお2人。実は1999年のKeith MurrayのアルバムにCanibusが参加していて共演歴があります。この曲初めて聴いた時はMethod Man & Redmanに匹敵する顔合わせだ!と喜んだ一方、トラックがまあショボくて複雑になったもん。そういや、Canibusの1stもこんな感じのトラック多かったんだよなあ。ちなみにこの2人、実は飲み仲間ならぬ「モクモクスパスパ仲間」きっかけで90年代中ばくらいから仲良しなんだって。それはそうとCanibus、軍隊では大丈夫だったのかいな?。



・・・The Undergodsのフルアルバムは2010年「In God We Trust, Crush Microphone To Dust」とカッコええタイトルでリリース予定!。大いに期待したいが、アルバムの出来が今ひとつだったら「Canibus、これでもダメか?!」ってなりそうでちょっと怖い。Slaughterhouseがアルバム評判いい上にヒットしてて、更にEminemからもお声がかかってると聞いたが、The Undergodsもそんな風になってくれたらいいね。