DJ Muggs VS. Ill Bill - Kill Devil Hills


DJ Muggsの「VSシリーズ」第4弾の対戦相手はIll Bill!。最初そう聞いたときはアルバム一枚しっかり聴きたいタイプのラッパーじゃあんまりないんで今回はどうかな・・・なんて思ってました、実は。で、いざ聴いたらこれがもうシリーズ最高の出来で、今年のマイベストアルバム1位候補に余裕でエントリーだわな。DJ Muggsのトラックはダークでストイックでニヒルなのは当然で、今回はプラス禍禍しさ、胡散臭さに良い意味でのケレン味がアップ。これはモチロン、何かと言や「イルミナティ」がどうのとかラップするIll Billのキャラクターにしっかり合わせたものでしょう。シンセ音も「シャイニング」や「地獄の黙示録」辺りのサントラを連想するような雰囲気で、サンプルネタもかなり怪しい。そんなトラックに乗るIll Billのラップも何時にも増して偏屈狂的カッコよさ。これぞ相乗効果。ゲストもSoul Assassin関連だけでなくRaekwon、Sean PriceやO.C.など過去付き合いがあるものでナイスなセレクト。1曲大体2〜3分で全16曲の計40分強というボリュームも各曲の密度が濃いので適切。やっぱMuggsにゃ狂い無し。いやいや存分に狂ってるってことだ!。


レトロなアニメ調ビデオもこれまた傑作。あとオートトラッキング懐かしい。



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Cypress Hill - III: Temples Of Boom (1995)

Cypressが2ndアルバムでそれこそ「オルタナ」なブレイクを果たした当時、「セルアウトだ」みたいなトンチンカンな意見がコアなヒップホップファンの一部から出たもん。そこで「テメエら全員地獄見せたろか!」「見せたろか!」(繰り返しはSen Dogの声マネで読んでください)とばかりに(?)Cypressが作り上げたのがこの3rd。よりダークで重厚かつスモーキン。しかも当時全盛だったWu-Tangをあえて向こうに張ったかのようなホラーで怖コアな作り。そして一方で結構豊富にある落ち着き払った雰囲気が逆に怖い、という素晴らしいシロモノに。「こういう人たち怒らせたらそうなるよ!」って喜んで聴いてました。実は現在にまで至るDJ Muggsのサウンドはこの「III」で確立してるんだが、「Kill Devil Hills」はその中でもこの「III」に通じるものがあると(落ち着いたトーン以外)。モチロン最初の2枚はヒップホップクラシックで大好きだけど、B-Realのラッピンの「狂気の孕み具合」、「III」はレベルが跳ね上がっておる。


タイトルにも注目。まあトラックはRZAがやってるんだろうが。そう言えば「Kill Devil Hills」は近年のRZAの作品より「Liquid Swords」辺りを彷彿とさせるものもある。



Ill Bill - La Coka Nostra presents Black Metalb (2007)

Ill Billに関しては間違いなく「Kill Devil Hills」が最高傑作、でいいでしょう。とは言えそれまでの悪い白人ゲテモノラッパー(毎回言ってるが褒め言葉です)なキャリアもポイントポイントで気になるとこ多いね。Soul Assassins連中との繋がりは00年代中ごろから強くなってるようで、この「Black Metal」あたりで大きく現れはじめてる。La Coka Nostraプレゼンツでメタルネタが耳を引くコレはDJ Lethalが何曲かトラック作ってて「デビルトラック」な(?)カヴァーアートはDanny Boyによるもの。・・・が、Muggs製作曲は無し!。まあ「Kill Devil Hills」と合わせて聴くならMuggsばかりかPrimo先生作のトラックまである2008年の「The Hour Of Reprisal」が良かろう。このブログではLa Coka Nostraのアルバムの時にそっちを取り上げたんで今回はデビルトラックとりあげたんだが、まあ逆だった。あとこの男「Ill Bill Is The Future」ってタイトルのアルバムを出してるが、この言葉ある意味実現したぞオイ。。