Pharoahe Monch - W.A.R. (We Are Renegades)


2011年の3月はヒップホップのグッドなアルバムが豊作だった、ってのも憶えておいてほしい。その証拠にその内の一作たるPharoahe Monchの3rdアルバムを取り上げるのだ。Duck Downからのリリースってのもあるのかテーマは「WAR」と随分物々しい、野心的なコンセプトアルバムになってる。それをPharoaheは複雑に韻を踏みまくったり、朗々と歌い上げたり、語りかけてきたりと、ディープかつファンキーなラップぶりで表現する、またも濃い内容だ。ゲストも選ばれた顔ぶれとその仕事振りも素晴らしい。まあ、トータルでは前作に続いてやはり「ラップ>サウンド」みたいな比率だが、豊かなラップと壮大なコンセプトをサウンドが支えきれてない曲がある、という言い方が正しいかも。一人のトラックメイカー、例えばMarco Poloあたりが全曲手掛けたらコンセプトアルバムとしてまとまりが出たかもかな。それでも十分高水準なアルバムなんで、気になるのはやはりまたまた「今の日本で聴くには...」みたいなことですが、「困難に耐え立ち上がる」という気分に映えるアルバムでもあると思う。ネオソウルチックな曲もあるし、Jill Scottのヴォーカルが美しいラストの「Still Standing」なんか特にね。オレたちゃまだ立ってるぞ!。
Pharoahe Monch - W.A.R. (feat. Immortal Technique & Vernon Reid)

まあ今の日本に必要な感じはタイトルトラックのこっちかね。オレたちゃレネゲイドだど!。



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Organized Konfusion - The Equinox (1997)


Organized Konfusionとソロで3枚づつアルバムを出しているPharoahe Monch。Organized Konfusionの最初の2作と、ソロの1stがヒップホップクラシックとされているが、残りの3作も十分傑作レベルだと思う。クラシックとされる3作がレベルが更に上、という印象で。Organized Konfusionの3rdは映画のようなストーリー仕立てのアルバムで、コンセプトとサウンドのバランスがやや取れてないというところは「W.A.R.」と共通してるかな。しかし曲単位でも良いもの多いよ。
Organized Konfusion - Numbers

「数字使い」といった詩がすごく面白い。ファンキー4+1で5、トレチャラス3にオウサム2で...。


Pharoahe Monch - Desire (2007)


リリース時は「やや期待はずれ」という声も聞いたソロ2作目は、あの1stソロアルバムから8年ぶり!、ってことが変なバイアスになってたんじゃないか。またこの人「過小評価されているMC」と言われがちだけど、正しい評価を惑わす変なセンスの持ち主だとも思う。とっつき難い、ていうのとも違うね。1stはそれが面白い形で出て、最もキャッチーに昇華したのがあの「Simon Says」だったと。そのあたりと比べると2ndはややストレートな良作っぽいのかも。
Pharoahe Monch - Welcome To The Terrordome

素晴らしい。が、アルバムはオリジナルでコレという曲がもう1曲あればもっと良かったか。