Random Axe - Random Axe


Random AxeはデトロイトのBlack MilkとGuilty SimpsonにニューヨークのSean Priceの3人によるコラボトリオ。これは気になる顔ぶれでアルバム期待しておったぞ。そんな期待に十分応えてまず文句なく素晴らしいのがBlack Milkのトラック。トレードマークのパタンパタンとしたドラムに、バラエティな音を選んでいるのに全体的には一貫した感触の上物。昨年の傑作ソロにまったく引けを取らないと言うか、高品質なトラックをガンガン作れる絶好調ぶりなんでしょうな。ラップもやる人だけど今回はサポート程度でそこはやはり残る2人。Black Milkとはお馴染みのGuiltyは言うでもないが、やや意外な組み合わせ感あるSean Pもトラックにしっくりきてる。トータルで聴くと大変良いヒップホップアルバムなのは間違いない。ただ思ったのはGuiltyとSean Pの低音ボイスで渋いラップってのがちょっと似てて、寧ろまとまり過ぎかなという点。どうせならもっと突拍子もない組み合わせというか、なんなら破綻を起こすくらいキャラ違う奴がもう一人加わってても良かったんじゃないかな。悪い意味でのスーパーグループ感のようなプラス・サムシングがあったら、というやや老婆心じみた感想も持ちました。「良いヒップホップアルバム」だけじゃちょっともったいないんで、欲張りな意見ではないでしょう。
Random Axe - Random Call



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Sean Price - Monkey Barz (2005)


90年代にHeltah Skeltahの片割れとしてシーンに登場したRuckことSean Priceだが、当時は相棒のRockのラップモンスターぶりの陰に隠れた「助演タイプ」のイメージあったと思う。しかしそのモンスターの方がDuck Downを一時離れたのもあってソロとして脚光を浴びて、00年代はソロアルバム2作出してハズレ無しと、90年代デビューで00年代の方がある意味得をしているという珍しいラッパーでもある。ハードコアだけどユーモラスな味の持ち主という存在自体でも個性派ですが。Random Axeに受けた印象はHeltah Skeltahのコンビネーションを思うと特に強く感じる。
Sean Price - Boom Bye Yeah

First name Sean, last name Price!


Guilty Simpson - Ode To The Ghetto (2008)


デトロイト出身でリリースベースはStones Throwという、ある種のマニアからすると強力な存在(?)Guilty Simpson。昨年Madlibとの「O.J. Simpson」が話題になったが、ラッパーとしての魅力はソロデビューアルバムの方が良く出てる。というかこれMadlibJ Dilla、Oh No、Mr Porter、そしてBlack Milkらが参加してる、典型的な「隠れた名作」ですね。
Guilty Simpson - The Real Me

Produced by Black Milk!