Vakill - Armor Of God


シカゴのヒップホップコレクティヴMolemenの一員であるMC、Vakill。オリジナルアルバムとしての3作目は5年ぶりと久しぶり。なんでも当初ひたすらラフな作りのアルバムを製作していて行き詰まったところ、「もっと意義深い作品を目指すべきだ」という意思を神の啓示のように感じまた作り直して完成させたそうな本作。元々目指してた独自な解釈によるギャングスタラップなアグレッシヴさは失わず、更に神の鎧を纏ったかのような強固なアルバムに仕上がったというとこなのだ。総じて柔らかい質感のトラックはやはりMolemen関連、特にPanikが多くを手掛けてるが、今回は他にJake Oneによるトラックが良いアクセントになっているか。もちろん実のトコはリリックにウェイトがかかっている、コアなヒップホップファン向きのアルバムではある。が、手応えは十分でラップぎっしり確かな聴感。Vakillは信用デキル。
Vakill - Heavy

仕上がりはディープで渋い美しさだが、サンプルネタかなり飛んでる。ゲーム「クロノ・トリガー」のサントラとのこと!。

Vakill - NWA

そこかしこにギャングスタ要素を織り込んでいるのが面白い本作。コレは「Appetite For Destruction」なタイトルそのまんまのN.W.Aトリビュート!。



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Vakill - The Darkest Cloud (2003)


リリシズムはディープ、バトルラッピンに優れ、メタファーを駆使するインテリジェンスとストリートのハードコアネスを併せ持ち、ストーリーテリングもお手の物。要するにラップの達人なVakill。でもやはりRas KassやPharoahe Monche同様こういう人は「過小評価されてるリリシスト」になっちゃうな。このアルバムなんかは隠れた名作な雰囲気たっぷりで、それもまた味わいではある。
Vakill - The Creed

Lolita Floresというスペインのシンガーの曲のサンプルネタ使いが素晴らしいトラック。ラップも言わずもがなだが、最後の「オレはえらく道理にそむいている存在。クソしたらトイレの水が時計回りに流れる程だぜ」ってラインが最高。北半球では排水の流れの回転は反時計回りである、ってやつね。ヒップホップファンには「Dropping s*it」が二重の意味なのは言うまでもないでしょう。


DJ Vadim - U.S.S.R.: The Art of Listening (2002)


...とは言えMolemen関連はあまりしっかりチェックしてなかったもんで、Vakillを意識し始めたのは多分この曲から。他にThe Gift Of Gab、Motion Man、TTCなどなどの豪華ゲスト陣とのコラボアルバムと言っていいVadimの3rdアルバム。
DJ Vadim - It's One (feat. Vakill)

ヴァディムとヴァキル。