Kendrick Lamar - Section 80


気がつきゃ21世紀、もう10年も経っとるとなりゃ新世代のラッパーも続々現れてるヒップホップシーンなりと。その中で一番の注目株と言えばKendrick Lamarでキマリでしょう。コンプトン出身だけどギャングスタラッパーではない、けど生まれ育って見てきたコンプトンのハードライフをシャープに表現してみせる。社会問題や政治問題にバリバリ切り込むようなラッパーでもないけど、意識の高さはコンシャスなラッパーと言っていいほど。00年代にはあまり見られなかったそれこそ80年代後半の頃のラッパーのような。でも明らかにKanyeなんか以降の新しい世代らしい、大胆不敵である一方繊細な表情も見せる。それらがKendrick Lamarという「個」がしっかりとしていてのことなのが只者じゃない。口を尖らせて早口で喋っているような独特なラップもクセになる。トラックはKendrickとBlack Hippyなるユニット組んでるレーベルメイトたちをはじめ、これまた新し目な面々。メランコリックでメロウ、時にジャジーで、情感の統一ぶりは最早コンセプトアルバムってな程だが、同時にビートは鮮やかに立ってる。ラップ、トラック共にアウトスタンディングでヤルモンダ!。後は「Kendrick Lamarと言えばこの曲!」って存在だけだろうが、それは追々出てきそう。だってこやつまだ24歳だもん。するってぇと1987年生まれってことか・・・Public Enemyの1stが出た年じゃんか!。

ジャズいアウトロ。



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Kendrick Lamar - Overly Dedicated (2010)


最近の新人ラッパーって面白いミックステープを何作も出して注目浴びたはいいが、肝心のデビューアルバムが「あれ?」という出来だったりするのも少なくない(・・・Waleとかね)。Kendrick Lamarもこれまでいくつかのミックステープ、ストリートアルバムをリリースしているが、その「ミックステープでやりすぎ問題」はクリア。ただ「Section 80」はウェッサイと言うよりTanya MorganとかThe Foreign Exchangeの1stとかに雰囲気近い気がするんで、Dr. Dreの「Detox」ではどんな感じになるのか想像し難くなった。しかしまだ出てないのに参加予定の新人が話題になったり、限定ヘッドフォンは発売決定だったり「Detox」ってどんどん映画で言う「マクガフィン」化してっけど、大丈夫なの?。


Ab-Soul - LongTerm Mentality (2011)


しかしなんちゅう名前だ!、Black Hippy。メンバーはKendrick Lamar、Ab-Soul、SchoolBoy QにJay Rockの四人。Ab-Soulは「LongTerm」と題したミックステープをシリーズでリリース中で、「Mentality」は3作目。音の雰囲気やラップにも「Section 80」に通じる多様性があって、触れ幅もうちょっと大きい感じ。
Ab-Soul - Loosen My Tie


Schoolboy Q - Setbacks (2011)


Kendrickをややハードでアグレッシヴにしたみたいなラップスタイル。トラックも「Section 80」の叙情性とは毛色違ってて、ストレートなストリート感は4人の中でも一番かも。結構好き。
Schoolboy Q - Kamikae


Jay Rock - Follow My Home (2011)


Jay Rockはヒッピーじゃなくてギャングだな。デビューアルバムは唯一他レーベルとの共同リリースで、ゲストやトラックメイカーも全国展開仕様っぽい。ある意味バランスが取れてて、4人の作品の中では入り口として一番いいかも。そう考えると「Section 80」は相当イビツなアルバムでもあるというか。
Jay Rock - All my Life music video trailer