Thurz - L.A. Riot


2012年はあのLA暴動から20周年だそうな。つまり暴動の発端の要因となったロドニー・キング事件からは今年が20周年ということになる(...ついでにロンドン暴動から0年ってオマケついちゃった)そんな今年、カリフォルニアのラップデュオU-N-Iの片割れThurzことThurzdayがそのLA暴動をテーマにしたアルバムをリリースしたんだが、コレが熱い!。ロドニー・キング事件の詳細を描写した「Rodney King」、N.W.AからJay Deeまでを取り込んだ「Fuck The Police」、Black Thoughtをフィーチャーという時点で意図は明確な「Riot」(日本の原発メルトダウンのこともチラッと出てくる!)など、そのメッセージ性の高さは近年のヒップホップアルバム随一。DJ Khalil、Aaron Harris、U-N-Iでも一緒に仕事したRo Blvd.等によるトラックは当然ハードめ。しかし曲によっては効果的にメロウなプロダクションもあり、「Manifest」と題されたアウトロは「Human Nature」使いが情感に訴えかけてくるつくり。それらだけでも相当なアルバムなんだが、Thurzが「良い音楽で自身を表現すること」そのものも自身による「暴動」と表現していて、そこにいたく感心させられた。つまりラップとは「エクスプレッション」であり、それを自身の「暴動」である、と言い替えてるということだな。作品の質はもちろん、その姿勢もとても素晴らしくヒップホップ的だと思います。ヒップホップ長く聴いてると「何々からウン10年か」みたいに年月が経っている事に感慨が行くことが最近多くて、実際このブログでもしょっちゅうそんな風言ってると思うが、今作に関してはこんなアルバムがまだ出てくること、それもKendrick Lamarの「Section 80」やこの「L.A. Riot」みたいなアルバムが西から出てくる「今」が嬉しい、って感じられたのがすごく良かった。我コノ暴動二賛同セリ!。
Thurz - Rodney King

ちょっとしたヒップホップオペラ、とまで言えそう。



〜If you like this title, I also recommend...〜

U-N-I & Ro Blvd. - A Love Supreme 2.0 (2010)


フロムLA、Y-OとThurzdayのコンビU-N-Iは「ギャングスタラップの灰から生まれた」と称されるやはり新しい世代、感覚のデュオ。1stアルバムのタイトルなんかは意識の高さを伺わせるが、基本は多幸感とセンス溢れる音&ラップ。ちなみに現在は解散状態らしいのが惜しいところ
U-N-I - Windows

こういう雰囲気もイイんでね。


Ice Cube - Death Certificate (1991)


LA暴動はそれまで鬱積していた人種問題に関する不満が爆発したものとも言えるが、その問題の一つを取り上げた曲Ice Cubeの「Black Korea」は、LA暴動に関連したエンターテイメント全般の中で真っ先に挙げられるもので、暴動の呼び水になったとまでも言われているほど。同曲収録のこのアルバムも20周年。熱量が相当な本作だが「L.A. Riot」はそれを彷彿とさせるぞ。またThurzはこの「Death Certificate」をフェヴァリットアルバムの一つに挙げているのは、合点のいくハナシ。
Ice Cube- Black Korea

様々な影響が大きかった曲だが、プレイタイムはわずか50秒に満たないのだ!。