9th Wonder - The Wonder Years


この秋はヒップホップのアルバム、注目作のリリースラッシュのようです。出来るだけ追っかけたいんでまずは9th Wonderのソロアルバムから。Phonte、Medianら9thとはおなじみの面子から、Terrace Martin、Kendrick Lamer、Murs、Warren Gといった西の連中、BluやTanya Morganのような(恐らく)初顔合わせだけど相性良さそうな面々、果てはニューカマーからMac Millerまでなんと30人近いラッパー&ヴォーカリストをフィーチャーした豪華作。9thのトラックは結構チョップを効かせた曲や、Premoっぽいスクラッチを生かした曲なんかがあったりするが、基本ソウルフル&エモーショナルなサンプルネタとタイトなビートで、例によって余計なことしてない感じ。人によっては毎回同じ、っぽい印象受けるのかもしれないが、「オレだオレだ」のヒップホップ界において妙に謙虚なこの人の味、好きです。そして今回はMela Machinko、Erykah Badu、Marsha Ambrosiusら女性ヴォーカリストをフィーチャーした曲がすごく良い。最近のR&Bってソウルフルなサウンドもヒップホップっぽいビートも少なめだもんな。あと3曲フィーチャーされてるTerrace Martinとの音楽性豊かなケミストリーが特に引き付けられるものあるよ。
9th Wonder - Peanut Butter & Jelly (feat. Marsha Ambrosius)



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9th Wonder - Dream Merchant Vol. 1 (2005) / 9th Wonder - Dream Merchant Vol. 2 (2007)


世界8番目の不思議、じゃなく自称その次。組んだグループは自身が影響を受けたDe La SoulPete RockA Tribe Called Questらの弟分みたいな存在だからLittle Brother...と、名前からしても妙に慎ましやかな9th Wonderサウンドも奥ゆかしさという意味も含められるディープさで、00年代のヒップホップシーンを支えた名プロデューサーの一人と言っていいと思う。新作のゲストラッパー複数フィーチャーという体裁は過去リリースした「Dreamm Merchant」シリーズの第三弾みたいなとこもある。が、「Vol. 1」は同郷のJustus League中心で「Vol. 2」はプラスCamp Lo、Mos DefStrange Fruit ProjectRoyce Da 5'9"などが参加、というとこ見てもプロップスの右肩上がり具合見て取れ、新作の豪華ゲストリストはその表れがさらに、ってとこでしょう。まさしくワンダー・イヤーズ。
Crooklyn Dodgers III - Brooklyn In My Mind (feat Mos Def, Jean Grea and Memphis Bleek)

Vol. 2より。Crooklyn Dodgersの第三弾!。


9th Wonder - God's Stepson (2003)


Little Brotherや10数作に及ぶラッパーとのコラボ作を除けば「Dream Merchant」2作と新作の計3作がソロとしてのディスコグラフィーだと思われる9th Wonderだが、挙げておきたいのはNasの6作目「God's Son」(2002)のトラックを勝手にとっ換えたこの一作。9thのトラック全曲アウトスタンディングで「Illmatic」以降Nasのトラック選びに満足してないヘッズの溜飲を、ブートレグでもって下げてくれました。00年代中盤のマッシュアップや勝手にリミックスなムーヴメントにおいても「The Grey Album」らと並んで挙げていい。しかしここでも「神の継息子」と、控えめですな。
Nas - Book Of Rhymes (9th Wonder Remix)

Curtisとかガンガン使って、Nas!。


おまけVA - Mortal Kombat: Songs Inspired by the Warriors (2011)


今年リリースされたゲーム「モータル・コンバット」のサントラ、と言うかトリビュート盤と言うか、もしかしたらリミックス盤?。MSTRKRFT監修でいかにも「モーコン」らしい下品なテクノっぽい音中心な、高速ブレイクビーツものやダブステまで至るコンピ。何故かこれに9thが1曲参加してる。
9th Wonder - Raiden's Theme