Murs - Love And Rockets Vol. 1: The Transformation


Whatuptho?! ウエストコーストのリヴィング・レジェンドなアンダーグラウンド・ヒーローMurs。近年はコラボなんかを含めると毎年アルバム出してるくらいの勢いな勤勉ラッパーさん、個人名義のソロアルバムとしては3年ぶり。だからってワケでもないだろうが、Mursのリリックスとラッピングの冴えが特に際立っているこれ仕上がりだ。その上、アルバムのテーマが「愛」というのがとてもユニーク。「プレイヤーがどうした」とか「へイターがこうした」みたいに「ヘイト」の方が取りざたされがちなヒップホップシーンにおいて、「北風と太陽」の話のようなイカシたセンスで。トラックは24時間空手道場やってる(「24 Hour Karate School」ってアルバム出した、という意味です)Ski Beatzが1曲を除いて全曲手掛けていて、実はコラボと言ってもいい布陣のアルバムだったりするんだが、そのトラックが全体的に口当たり軽いってのが良し悪しの感あり。メロウなのは全然OK、でも「愛」がテーマっても単なるラヴソング集ではないんで、曲によっては音圧的、雰囲気的、あるいはその両方のいずれかがもっと重い方が良い気がして、そこがちょっと惜しいかな。トラック個々の出来も、それらとMursとの相性自体も悪くはないし。とは言え「残念」とかでなく「良いアルバムで楽しめたけど、Murs過去にはもっと良いアルバム出してる」って評したい。愛ある表現ってことでね。「第二弾」も楽しみだしね。
Murs - Remember 2 Forget

昔の女を忘れるために思い出し、思い出しては忘れようとする...。こういう情感を描くヒップホップがあることを知るべし。



Murs - Eazy-E

これはスウィートなラヴソング。それもウエストコーストラップへのね!。



Murs - Animal Style

心底驚いたアルバムのラストトラック。同性愛の学生カップルの悲劇的な物語から、同性愛嫌悪やヘイトクライムといった問題を浮き彫りにするという、ヒップホップの常識(?)からすれば考えられなかった衝撃作。Mursはストーリーテリングに徹することでセンシティヴな題材を扱うことに成功してる。その鋭さ、ちょっと怖いくらい。




〜If you like this title, I also recommend...〜

Tabi Bonney - The Summer Years (2011)


コンビニエントな空手道場(アルバム「24 Hour Karate School」のことです)にも参加していたDCのラッパーTabi Bonneyの、これまたSki Beatzがほとんどのトラックを手掛けたミックステープ。SkiってCamp LoとかこのTabiみたいに軽やかさが味のラッパーとの組み合わせがすごく良いね。
Murs & Tabi Bonney - Hip Hop & Love

Mursとの「Hip Hop & Love」はMursの新作にも入ってる。これぞサマージャム!。


Murs & Terrace Martin - Murs & Terrace Martin are Melrose


Mursは今年EPの他にTerrace MartinとのユニットMelroseでもアルバム出してる。んだが、こいつがカヴァーアート見てファーストリッスンあたりまでは困惑必至の冗談先行企画。マイアミベース調のチープ&アッパーなリズムで「She's a prostitute」だの「She's a loser」だのお下劣ラッピンが新作とのギャップすんごい。でもまあ頭空っぽにして楽しめる、羽目外しミュージックとしては大変優れていると言える。トラックもFool's GoldやMad Decentあたりの音に通じるものあったりして。ただTerrace Martinって、全曲手掛けたオフィシャルなフルアルバムは今んとここれだけ(おそらく?。EPやミックステープの類はあり)みたいなのはどうかと思う。才能ある人だと思うんで。
Murs & Terrace Martin are Melrose - We On Melrose