Eligh & Amp Live - Therapy At 3


フロムLAのLiving Legendクルー、ElighのニューアルバムはZion IのトラックメイカーAmp Liveとのダブルネームなコラボアルバムで、それも納得なAmp Liveの縦横無尽なサウンドプロダクションにまずは圧倒される。エレクトロニックな音要素をふんだんに使ったトラックは音色や曲展開などFlying LotusとかFree The Robotsなんかの音に近いような、ラップを乗っけるものとしては極めてアブストラクトでエクスペリメンタル。なんだが、しかしそこはEligh、早口で時にリズムの制約を飛び越えるようなフロウの足取りはいつも通りの軽やかさで、トラックとの違和感全然無いのがこれぞケミストリー。「セラピー」ということでより自己に向かってはいるものの、内相的というのとも違う雰囲気の詩も含め、全体的に聴きやすい印象のアルバムに仕上がってるってとこも不思議な魅力。今年のヒップホップはウェストコーストのアルバムに良いのが多かったのと、印象的なコラボアルバムが多かったってことが言えると思うが、それら両方の要素兼ね備えてるね。あとアートワークすごく渋くてカッコイイ。これまではヘタウマなイラスト多かったし。ラジカセのタトゥーいいな!。
Eligh & Amp Live - Tattoo Song

「タトゥーのうた」。皮膚の内側の痛みが表面の模様へと変化する、というのは内なる悪を解き放つことのメタファーでもあるのか。曲後半の展開も見事なAmp Live、だけどタトゥーにはビビッてるぜ!。



Eligh & Amp Live - Destination Unknown (feat. The Grouch & Zumbi)

ヒップホップにおいて「どこから来たのか」っていうのは物凄く重要だけど、「これからどこへ向かうのか」は分からないほうが面白い、というココロ。



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The Grouch & Eligh - G & E Music: Say G&E! (2009)


ソロでは昨年リリースの「Grey Crow」が最新作にして代表作になる快作だったEligh、他のLiving Legendクルー同様コラボワークもとても多いんでここではその中からLiving Legend仲間のThe Grouchとのアルバムを。落ち着き払ったThe Grouchの大人っぽいラッピンとのコンビネーション凄く良いこの顔合わせでは4作目で、結構キャッチーな曲も散見される作り。Amp LiveとそれこそFlying Lotusが1曲ずつトラック提供してる以外は全曲Eligh作。
The Grouch & Eligh - !BOOM! (feat. Slug)

こういうノリノリでバウンシンな曲でも様になるのはさすが。Amp Liveプロデュース曲。


Amp Live - Murder At The Discotech (2010)


ZumbiとのデュオZion Iではオーソドックスなアンダーグラウンドヒップホップを展開するAmp Liveだが、ソロワークではレンジが広いという表現では足りないくらい色んなスタイルのエレクトロニックサウンドを作ってる。2008年のRadiohead勝手にリミックスアルバムも面白かったが、昨年リリースのソロアルバムはその「はっちゃけ」がとくに飛び出てて、普通にロックソングがあったり、ヘンテコなリズム感があったりやりたい放題。ヒップホップのトラックメイカーでもあり、LAの個性的なビートメイカー連中の括りにも入れられるような多才っぷりがニクイ。
Amp Live - Chick Pop