VA – Bangs & Works Vol. 1: A Chicago Footwork Compilation


怪しくカッコいいエレクトロニックミュージックを嗅ぎつける能力は麻薬犬並のレーベルPlanet Mu。本人たちがそうだからというとこもあるだろうが、そんな同レーベルが最新コンピでプレセンツするのがシカゴの「ジューク」もしくは「フットワーク」と呼ばれるスタイルです。BPM160という高速なグルーヴに合わせてものすごい勢いで複雑で様々なステップを延々と踏むという「フットワークダンス」の為の音楽で、なんでもシカゴでは00年代に入って局地的に流行っているんだそうだ。音楽としては簡単に言えばシカゴのゲットーハウスやジットビート、ブーティハウスを高速化したものと思って良いでしょう。しかしここに収録されてる曲の最大の特徴はキックが重視されていないということ。ご自慢のBPM160を刻むのはパーカッションやベースライン、下品なヴォイスループなど。で、スネアはたっぷり拍を取っていて、時に連打されることもあるが基本タメがあるほど。そこにエレクトロニックなシンセやかなりベタなサンプルネタが絡むといった具合。高速なグルーヴにその半分のテンポが同居するところはダブステップドラムンベースに通じるものがあるし、バルチモアブレイクスとかバイレファンキっぽさもあるね。80年代後半、かつて「The House Sound Of Chicago」というコンピがUKでリリースされたのがハウスミュージックがスタイルとして広まったキッカケのひとつだったこととか思いだしちゃったりしたんだが、はたしてこのフットワークがハウスや最近のダブステップのようなムーヴメントになるのか?。まあそれは明後日以降・・・つまり来年以降のお楽しみってとこでいいでしょう。



〜If you like this title, I also recommend...〜

●DJ Roc - Da Crak Capone (2010)

クラブミュージックはとどのつまり「ダンスミュージック」ってことだけど、フットワークミュージックは一つのダンススタイルに特化しているというのが大きな特徴。ダンスの動画を見ているとキックが無いというのはランナーズハイっぽいイメージを音楽で表現しているというか助長しているようにも思える。・・・言うならば「ダンサーズハイ」かね。でも先にも記したように、2つの速度のグルーヴが同居するところを軸に音楽的広がりを加えていけば面白いものはどんどん出てきそう。ラップやヴォーカル乗っけてもいいだろうし、グルーヴの輪郭を描くようなサウンドメイキングからエレクトロニカみたいな展開もありえるし。で、このDJ Rocのアルバムなんかはその基礎と思って聴いてもいいかも。単純におもしろカッコいい音楽、でもあるんだがな。



●DJ Nate - Da Trak Genius (2010) / DJ Nate - Hatas Our Motivation (2010)

既にPlanet Muからもアーティストアルバムが出ている。DJ Rocと比べると「ゲットーテックを高速化した感」が強い音かも。そしてクオリティの低さや猥雑さもこれ魅力。DJ AssaultDJ Funkとかの流れで聴く・・・というかあの辺りが好きな方々はチェック済みでしょうな。そういや90年代終わりくらいにMo' WaxがDJ AssaultやDJ Magic Mikeとかをディストリビューとしたことあったな。そんなこと・・・あったな。まあPlanet Muなら大丈夫でしょう!。