Selected Dubstep Albums 2011 (Jan-Jun)

上半期リストシリーズ第二回はダブステップアルバム編!。今年はとにかく「ポストダブステップ」って言葉の踊り具合が大変なもんだが、むしろある程度形づいたものからさらに色々試してみるという動きはとても自然なことではありますわな。まあ、BengaやSkreamなんかがおっぱじめたMagnetic Manとか、Katy Bみたいなのが出てきたりしたら「ベッタベタなダブステップやるのちょっと躊躇するよ、そりゃ!」ってのがアーティスト側の正直な気持ちだったりすんじゃないのかとか邪推してみたり。10作に絞りきれなかったので中途半端に全部で12作!、なので動画は半分以上リンクだけにしてあります。なお、Planet Mu関連はいつかまとめて取り上げる腹積もりなんで今回は含まずで。

12. Kryptic Minds - Can't Sleep

http://www.youtube.com/watch?v=lRj3p-8RkJ8
ゴシックなダブステといえばKryptic Minds。ところがこの2ndではゴシックさを抑えたダークな空気感。ビートは近代的な建造物を彷彿させるがサウンドは廃墟のような、それらが整然と同居するような音作りは相変わらず。この人たち良い意味でグルーヴにはさほど興味ないんだろうが、それが良さになってると思う。最後の曲名にもある「ロスト・シティ」って言葉がぴったり。


11. Hyetal - Broadcast


ダブステップなグルーヴはあんまりない、最近の様々なビート感を抽象的に表現したかのようなHyetalのデビューアルバム。叙情的なシンセが印象的で、意外にもニューウェーヴを思わせる瞬間が結構あるのがポイントかな。Star Guitar + New Orderな「Beach Scene」って曲が(照れるけど)グッときた。ブリストルの人だけどマンチェっぽいかも?。


10. Emalkay - Crusader

http://www.youtube.com/watch?v=G5As23KHi2s
実にストレートなブリブリウォブルベースのダブステか、お馴染みレイヴサウンドリヴァイヴァル風のやつと半分づつ!、って構成が男らしいEmalkayのデビューアルバム。語弊がある言い方するとMagnetic Manをカッコよくしたみたい!。


9. Kromestar - Colourful Vibrations

http://www.youtube.com/watch?v=yTrQDR4FQdY
Kromestarの2ndアルバムは「ポスト」何するものぞと言わんばかりに前作を彷彿とさせるハイクオリティなダブステップ。いやダブステップ云々以前に濃密な陶酔感溢れる音世界の構築は職人気質ビシビシの渋さ。表面的には全然カラフルじゃないのにこのタイトルは天然かオトボケかってとこだが、アルバムカヴァーはやや「やりすぎ」。テックハウスのアルバムかいな、と。


8. Digital Mystikz - Urban Ethics

http://www.youtube.com/watch?v=4hW2GMedgoc
昨年待望の1stアルバムをリリースしたDigital Mystikz。曲数の少なさ以上に全曲Malaしかクレジットされてなかったのが謎だったんですが、こういうワケね。アナログ片面1曲×3枚で全6曲という同じフォーマットで片割れのCokiが手掛けたアルバムが昨年末に出たと。こちらはMalaよりも良い意味で下世話なのが味。どうせなら「Speakerboxxx / The Love Below」みたいに2作まとめて出してみたらよかったかも?。


7. Dub Terminator And High Frequency - Soul Island Volume 1


ダブステ感もありのラガビート物。かなりの曲にシンガーとレゲエMCをフィーチャー。アホっぽい名前から想像するとかなりしっかりしたレゲエアルバムな印象受けるやも知れぬ。ニュージーランドのChris McLay (Dub Terminator)とスペインのJacobo Miquel (High Freequency)の面白いコンビ。


6. 2562 - Fever

http://www.youtube.com/watch?v=kMhD-j3oQBk
2ndアルバムである前作は1stを地続きで進化させたようなアルバムでしたが、この3rdアルバムは音色そのままに音楽的な懐の深さや幅広さをみせるインスピレーション溢れるつくり。「Juxtaposed」、「This Is Hardcore」あたりにある独自なファンク観にフムフムと頷くことしきり。アーティスト魂の持ち主よのう。


5. Kode 9 And The Spaceape - Black Sun

http://www.youtube.com/watch?v=tpeSydO_n0g
HyperdubのドンにしてダブステオリジネイターKode 9の2ndは、ベース控えめで跳ねるUKファンキービートに着目したある意味ダブステップをネガポジ反転させた発想のようなアルバム。宇宙猿のMC含めUKファンキードレッドってな按配?。ただダークなだけじゃない、全体的な音の感触がすごく好み。


4. LV and Joshua Idehen - Routes

http://www.youtube.com/watch?v=d57GO5ayy9Q
ジャンル分けしたらポストダブステップってこういうのを指してんのかな。恐らくJoy OrbisonとかUntoldとかあたりのビート感。そんなLVの、Joshua Idehanのヴォーカル&チャントを大々的にフィーチャーしたデビューアルバム。ヴォーカルは時にサウンドの要素の一部のように処理されてる曲とかもありますが、シンプルかつ跳ねるようなリディム的ビートとのマッチングも素晴らしい。


3. Slaughter Mob - Under The Rador (Black Ops)


ダークなサウンドでラフなベース。それでガラージっぽいリズムの曲もあって、グライム好きにもかなりイケそうな悪イイ音。あのRephlexの「Grime」にも曲入ってた、実はこういうこと結構長らくやってるヴェテランのコレクティヴ。


2. VA - Cotti presents Sumting New Dubstep Compilation


こちらも長いことUK悪ワルラガベースシーンで活躍しているCottiの、これは嬉しい作品集。ラガダブなルーツサウンドから生まれたグライム、ガラージ、ダブステ、ファンキーのルーツ的ビーツ、とワザとややこしく表現してみたりして。とても良い煙たさ。Skepta、Jammer、P-Money、Cokiまでフィーチャー。「Rise The Temperature」入ってないのだけ惜しい。


1. Clueless - Torrid Affairs


ダブステップじゃなくてフューチャーガラージだけどむりやり1位!。いやダブステップ的な音もあるし、ビートとベースの太さ重さは十分。サウンドは簡素で、過剰じゃないアーバンさもあるし大変カッコイイ。こういうアーティストアルバムって以外と少ないとも思うし。