Selected Dubstep Albums 2011 (Jul - Dec)


あけましておめでとうございます!。さて、年明けからしばらくは2011年下半期まとめでお付き合いください。今日はダブステップ編!。とは言え昨年のダブステップの動向に関してはその広がり方には不安をおぼえてしまう程だったような。ハウス、トリップホップドラムンベース、2ステップにフレンチ・エレクトロなどなどみたいに、より「ジャンル」として扱われると勝手に消費されて勝手に「廃れた」みたいに言われちゃいそうだな〜とか。そんなことが頭をチラホラしつつの全10作。内2作はちょっと変化球なんで、8作+2作、というイメージ。


Korn - The Path Of Totality


プラス2のその一。「え?!シュワちゃんが妊娠?!」ならぬ「え?!Kornダブステップ?!」なコレ。全曲SkrillexだのNoisiaだのKill The Noiseだのと言ったそっち側(あっち側?、ジ・アザー・サイド?)のトラックメイカーがフィーチャー表記されてるクレジットから想像できるように、そういった奴等がKornの曲リミックスしてみました、みたいな仕上がりで、そう思って聴くぶんにゃいいだろう。ダブステップの溜めグルーヴをバンドサウンドに織り込んだりとか、ウォブルなベースのうねりをメタルなリフに変換してみたりとか、もっとクリエイティヴなやり様はあったと思うけど、やってないというか目指してないっぽいし。それより次はフットワーク・ミュージックなんてどうだい、Jonathan?。


VA - Doggy Style Records presents Snoop Dogg - Throw Your Dubs Up


プラス2そのニ。Snoop Doggとその周辺の西な連中のダブステップ的な曲を集めたミックステープ?。玉石混合で全体的に「ダブステップってこんなんでしょ?」みたいな雰囲気もすごいあるが、カッコイイ曲はとことんカッコイイ。「Be Like Me」はD Double EのリミックスとSnoop一人をフィーチャーしたやつ両方入ってる。Snoopこそグライムやダブステップのトラックメイカーとがっちりアルバム作ったらいいのに。


8. Joker - The Vision


ストレートなダブステップサウンドに親しみやすいシンセ音やフィーチャリング・ヴォーカル。多分今「タブステップってどんな音楽?」って聞かれた時に選ぶとしたら一番良いアルバムだと思う。ダブステップが去年以上に一般的になって行くんなら、これを類型化したようなものが溢れることになるんじゃないかとか、やっぱり聴きながらそういうことやたら考えちゃった。


7. Robot Koch - The Other Side / Robot Koch & John Robinson - Robot Robinson



Jahcooziのロボコッホさん、2011年はソロアルバムにJohn Robinsonとのコラボ作と2作もリリース。グリッチやダブステもありつつグルーヴはダウンテンポものな根幹がぶれてない感じで音色の統一感もしかり(2作とも)。「The Other Side」はヴォーカルも結構入ってて、それこそRadiohead好きな人とかも自然に聴けそう。「Robot Rosinson」はもちろんコアなヒップホップのにもイケる。John Robinsonが少しロボットを意識したような?リリックス書いてんのがおもろい。


6. DFRNT - Emotional Response


アンビエントダブステップ、それも上モノがアンビエントでビートやグルーヴはしっかりしてる、なDFRNT。2ndはそのビート&グルーヴの方を強化しているという、大変好ましい姿勢。そんな風以外の6曲目(テクノチューン)や7曲目(ピアノのみ)みたいなのも凄く良い。が、7曲+その内のリミックス4曲で全11曲というヴォリュームは今時だとEPっぽいか。


5. Silkie - City Limits Volume 2


テクノな音色のアーバンかつレイドバックなシンセリフがクールで、デザイン性に長けたダブステップといった様子は健在なSilkieのセカンド。というか前作とあんま変わってないというとこがツッコミどころだが、ヴォリューム2って言ってるんでまあいいか。


 

4. Ulrich Troyer - Songs For William


限られた音色で表現されるダブが素晴らしい。簡単に言うとべーチャン・サウンドのリズムのみにとことん特化したみたいな作品。ミニマルでマイクロなダブ。だが「ステップさ」はそんなにないよ。


3. Author - Author


Jack SparrowとRuckspinのユニットAuthor。Jack Sparrowが出した昨年のソロアルバムよりダブステップなグルーヴ中心だったのはちょっと驚き。しなやかで滑らか、アーバンな瞬間すらあるサウンドは文句無くスタイリッシュだけど、アルバムには入ってないシングル曲の「The City」と「Teacher」2曲が秀逸で、そっちの方が好きかな〜。


2. Shinigami San - Toys


死神さん...なの?、とか不思議な名前につられて聴いてみたら、ストイックですっきりとした音配分、ミニマルでエレクトロニックな音色、独自なグルーヴ感などどれも面白い大穴作。タイトル通りのおもちゃ感も良し。ミニマルテクノ好にもおすすめな曲ある。


1. Pinch & Shackleton - Pinch & Shackleton


ダブステップホーリー・マウンテン?!。Pinchの硬質なビート&ダブ処理さ加減と、Shackletonの怪奇な音像&トライバルなグルーヴが有機的に融合する、とんでもない顔合わせのとんでもないアルバム。ビートの当たりはあんま強くないが、意外にも展開が多い曲構成と不気味な世界の構築度合いは他の追随を許さない超然さ。同じダブ解釈でもShackletonの怪奇趣味とPinchのよりトラディショナルなルーツダブ感には違いがあって、それらが同居することで2人の個性が際立ったりするあたりとか、「怖ぇえ音だな〜」とか言いつつ感心したり。逆に言えばそれぞれ突出した個性がちゃんと「コラボ」してると言う点でも優れてて、内容に関しては文句ナシ!。朝、歯を磨きながら聴いてたら歯茎から血が出た瞬間死ぬほど怖かったんで、(朝っぱらから聴くもんじゃない、とか)そういうことに気をつけたほうがいいかもね。



...というわけで、ダブステップに限らずシーンってのは流行とかでなく素晴らしい作品が出続ける状態そのものが重要、という当たり前のことを思ったりもした年の初めの「溜め」しとて。その点ではやはりPinchやShnackletonのような人たちの音楽性と志の高さ両方に感服で期待は継続である。2012年以降のダブステップはもしかしたらテクノで言うとSkrillexとかFlux PavilionなんかがArmin Van BuurenとかDavid Guetta、PinchやShackletonとかがRichie HawtinやMauriz Von Oswaldみたいなポジションで存在し続けるって感じになるかも。大まかに言えば同じジャンルの音楽かもしれないけど、普通テクノっつったらRichieやMaurizioとかのこと言うだろ、ってな具合で。