Vessel - Order Of Noise


ブリストルの(クラブ)ミュージックには陰と陽、柔と剛、静と動...などなど相反するものが同居する美を感じるものが多いと思ってて、Massive Attackの「Blue Lines」なんか最上の例じゃないかなんて言ってみたりしているんだが、正にそういう作品だった「Order Of Noise」でアルバムデビューなVesselの正体であるSebastian Gainsboroughブリストルの人だと、アルバム聞いた後で知ったもんでドロップ・イット・ライク・イッツ・腑!(「腑に落ちる」の意)。表面的にはダークなサウンド・テクスチャーはインダストリアルで無機質かと思えば、やさしく包み込むような柔和な質感もあり。8ビットっぽいようなものまで含めてテクノっぽいシンセ使った曲あるし、ビートはマシナリーな反復性が際立っているものの、クラブっぽいリズムは希薄でアルバム全体も一定のビート感はあんまりなかったり。でも、包括的に体を揺らしてくるようなグルーヴも感じるし。生音っぽい感触の深く蠢くベースラインは不安を駆り立てるようでもあり、一方で力強い躍動感にも溢れている。幻想的なダブ処理はいかにもブリストルサウンドっぽくて、その辺は直球って感じは微笑ましい。総じて鮮やかな鈍い光と言うか、本来光を発しないものが光輝いたらこんな美を表すんじゃないかな(以前同じような表現使ったっけか?)...なんて、素晴らしいアルバムなんだが、撞着語法がなかったら内容説明するの大変!。まあ正直、ぱっと聴いて普通にカッコいいよ!...それも撞着語法か。
Vessel - Silten



Vessel - Court Of Lions

こんなテクノアンセムみたいな曲もある。3:00ちょい前くらいの展開!。


Vessel - Standard EP (2012)


3曲入りEP。B-1「Merge」なんか思いっきり正調なハウスだったりして、シングルではもうちょっとクラブミュージックっぽい反復ビートを強調した曲出してるVessel。というか、先にそういうシングル聴いてアルバム聴いたらクラブっぽさ減っててガックリ、みたいなの結構ありがちなのに、「Order Of Noise」はあえて既存のグルーヴを抜いてきたみたいな面白さあって、逆に興味深かった珍しい例でもある。

こういうノリのアルバムも聴いてみたいというのも、もちろんそうよ。