Janine - With You Tonight


今年ももう残すところ2日。来るべき2013年への期待と去り行く2012年の追想が綯い交ぜになるこの時期ならではの複雑な心象に従えば、2012年って年を思い出させるアルバムか、2013年に期待できそうなジャンルのアルバムなんぞを取り上げたいとこ。しかし、そんなこんなとは関係ないどころか聴いてたら「今って何年?、何十年代?」って言っちゃいそうな、かなりの珍盤を(わざと)選んだみたのが本日のお題であるスペインのJanineというシンガーのオールドスクール・エレクトロなデビュー・アルバム「With You Tonight」なんです。...シンガー?って、そう!、これはそのオールドスクールなエレクトロだけでなく、そこから生まれたジャンルで、ディスコやポップスの要素を含んだラテン・フリースタイルと呼ばれるサウンドを再現してるのだ。そりゃ珍しいね!。ヴォーカルの歌唱や音処理、歌詞なんかは当時のダサダサ感がよく再現されてて笑っちゃう程。それでいてトラックは90年代のテクノ以降にリヴァイヴァルしたソリッドな音作りのエレクトロ・スタイルで決めていたりして結構クールでやんの。単なるネタっぽさだけじゃなくて、結構気に入っちゃった。 それにフリースタイルって頭に「ラテン」って付いてることからも分かるように、元々はNYのラテン・コミュニティーから生まれた音楽なんで、ある種自身のルーツに忠実な音とも言える、と思ったらますます良く思えてきたし。
Janine - With You Tonight


Janine - You As My Light

垢抜けないヴィジュアル・イメージ!。狙ってるとこもあるし、元からってとこもあるのがいい。



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Sace 2 - Adventures In Sound And Space (2009)


「With You Tonight」を製作したのはリリース元Microciudad Recordingsの主宰でもあるSace 2。1990年代初期から活動しているスパニッシュ・エレクトロ・シーン(そんなのあんだ)の草分け的存在なんだそうで、ビウェア!・エレクトロ・イズ・エブリウェアやな。アートワーク随分しょっぱいけど中身は王道エレクトロな最新アルバムはJanineも2曲フィーチャーされてて、それをアルバムのプロジェクト!にしたのが今回の作品ってことだろうな。USやUKのアーティストがやったらこの怪しさは薄そう。
Sace 2 - Tin Toy Invasion




...フリースタイルは当初のエレクトロ、ヒップホップから後にポップス、R&B(ブラコンって言い方がしっくりくるか?)などにクロスオーバーして行くことになって、あのThe Cover Girlsの「Show Me」なんかもそうって言えば、ジャンル的にその後どういった道を辿るかは想像しやすいのではないかと。「歳末とくべつふろく」として今日はそのエッセンスを持った曲を少しだけセレクトしておきますね。

Brenda K. Starr - Suspicion (feat. Adam Yauch) (1995)


80年代前半のオリジナル・フリースタイルから1曲?。今年ならこれしかない!。フィーチャリングMCA!(泣)。


Bomb The Bass - Don't Make Me Wait (1988)


80年代中盤を折り返したところでハウス・ミュージックが広がりを見せる中、その一角を担ったBomb The Bassはこの頃っぽいウェイトのビートでフリースタイルっぽい曲作ってる。


The Todd Terry Project - Weekend (1988)


Class Actionの同名曲(1983)をTodd Terryがリミックスというかリモデルしたナンバー。オリジナルはディスコ調で、こちらは(意識してか)ハウスと言うかフリースタイルな仕上がり。


DMX Krew - You Can't Hide Your Love (1997)


90年代以降のエレクトロ再発見サウンドのなかでもダサダサ感の再現で頭ひとつ抜き出てる(?)DMX Krew。この曲や「Body Rock」なんかはフリースタイル・スタイル(くどい)。あとこの曲のAphex Twinリミックスは珍しくヴォーカルを丸々残してて、そちらもフリースタイル考にぴったりの参考商品でしょう。