Robert Hood - Motor: Nighttime World 3


今年も今日を残すのみ!。Robert Hoodの「Motor: Nightime World 3」で年収めだ。副題からも分かる通り、ミニマル・テクノの始(の一人)にして匠である氏が影響を受けたソウル、ファンク、ジャズなどを音楽的に反映させた、自己探求的意味合いもあろうシリーズの第三弾。12年前のヴォリューム2なんかは特に精神的にも音楽的にもその色合いが強く、ミニマルだけじゃない彼の側面がよく表現されておったものだが、今回はむしろストリクトリーなデトロイト・テクノなのが少し驚き。ビートのテンポは様々、情感あふれるメロディも豊富ではあるものの、スタイルはよりデトロイト・テクノに絞っているくらい。しかしデトロイト・テクノ自体ももはや四半世紀を迎える音楽であることを思えば、むしろ納得というとこで。自動車産業が栄え衰退し、治安が悪化して荒廃が進む一方で、モータウンにはじまる素晴らしいソウルミュージックを歴史的に生み続けているという、世界に類を見ないかの地からしか生まれ得なかったであろう、そして表面的には無機質な機械音にとことん込められた魂と情熱を感じさせる「デトロイト・テクノ」という不思議な音楽の魅力を改めて味わえ、思いを馳せることの出来るアルバムである。熟練の技術から紡ぎ出された作品の質に関しては言うまでもないでしょう。夜分遅くの美(?)を描いたような世界観共々、心の隅々に染みることよ。後、少し前にデトロイトの人口流出が止まらず都市が消滅する危機も?、なんてネットの記事を見たとき、このアルバムの最後に入っている曲のタイトルが「A Time To Rebuild」だったのを思い出してグッときたのだった。
Robert Hood - Black Technician



Robert Hood - A Time To Rebuild



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Robert Hood - Wire To Wire (2003)


新作を聴いて「ハードミニマルの人だけど今回はデトロイト・テクノなアルバムだな」と思ったら、そりゃデジャヴじゃないよ。「Motor」って音楽的にはこっちのシリーズって言ったほうがいいんじゃないかというのが2003年のこのアルバム。オーセンティックなデトロイト・テクノを基礎にハウスやブレイクビーツアブストラクトなリズムありつつなアルバムで、「Motor」は逆に内向きにデトロイト・テクノの深部に向かってるってとこか。
Robert Hood - Interior Suspect

アートワークこの向きで合っています。



...というワケで年内の更新はこれで最後。今年は更新期間が長めに空いちゃった時期が2回もあった当ブログではありますが、読んで下さった皆様にここで感謝の意を。ありがとうございました。良いお年を。そして良いナイトタイムを!。